初代塾長(設立者)挨拶

「小中学生に勉強を教えたい」

昨今、ニュースなどで所得の高低による教育格差が拡大した、学力のばらつきが大きくなった、子どもと地域の関係性が希薄になったなど耳にすることが多いと思います。私たちは、そのような大きな問題に取り組むために本塾を立ち上げたわけではありませんでした。あくまで、上記の言葉に尽きます。机上の教育制度論ではなく、「子ども達に実際に勉強を教えたい」という学生が集まったのが、学び場さくら塾です。
ではなぜ、有料の塾があるのにのも関わらず、無料で勉強を教えたいのか。誰もが不思議に、あるいは訝しげに質問を投げかけます。その答えは、学生にとって様々です。ある学生は、教師になるための訓練ゆえにお金を取ることに抵抗があると述べています。また、ある学生は経済的な利益を優先する塾産業に反旗を翻したい、あるいは企業のしがらみなく勉強を教えたいと考えています。いずれにせよ、熱意のある学生がこのさくら塾に集まったのは間違いありません。
今まで、教育システムについてディスカッションする機会自体は、それほど少なくありませんでした。しかし、学生から自発的に直接、地域住民、保護者、大学との交渉を通じて、子ども達に勉強を教える試みはありませんでした。学生たちは手弁当でも、勉強を教えたい気持ちがあるのにも関わらず、その機会が無かった訳です。制度についてただ考えるだけに終始するのではなく、あるいはお金を得るために勉強を教えるのではなく、試行錯誤を繰り返しながら教育に真摯に取り組みたい。大学生が獲得した学習成果を、年齢が近い後輩たちに伝えたいという想いがあったわけです。この想いが飽和状態に達し、「とにかくやってみよう」という意志が、「なんとなく危なそう」というリスクに打ち勝った時に生まれたのが、このボランティア学習塾です。
現在、さくら塾は、県営住宅桜アパートに住む生徒の保護者、地域住民、そして我らの筑波大学の協力によって成り立っています。本塾は副題に―筑波大学と地域をつなぐ―という壮大な目標も掲げています。とはいっても、この目標は副次的な産物にすぎません。具体的に学生ができることは、畢竟、一つしかありません。それは、子ども達に良質の学習指導を提供することです。品質の高いサービスを提供し続けることで、自然と地域と大学が近くなり、地域の中での筑波大学の位置づけが明確になると確信しています。私たちは、東京教育大学の流れを汲む筑波大学に在籍しています。前身の東京教育大学は、東京文理科大学です。文理科大学として昇格する前は、教員養成の核となった東京高等師範学校が歴史的に存在します。教育業界に大きな業績を残された先輩に恥じぬよう、精進していきたいと考えています。
2010年5月30日
学び場さくら塾前代表
筑波大学心理学類
中田智洋
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